みなさま、こんにちは。不動産鑑定士の小林です。
今回は不動産の評価について。
例えば自分である程度不動産評価額を調べたいと思った時、皆さんはどうしますか。
今はネットでかなりの情報が集まるので、そういったものと比較してある程度の価格の目星をつけるのも一つかもしれません。
それとは別に不動産鑑定士が関与している公的な評価である地価公示価格、地価調査価格、相続税路線価、固定資産税評価額からおおよその水準を把握する方法をご紹介致します。
不動産評価額のルール
先ず上記価格には一定のルールのもと価格が設定されています。
それは地価公示価格及び地価調査価格は時価水準ベースでの評価。
相続税路線価は時価水準ベースの80%、固定資産税評価額は時価水準ベースの70%となっているのです。
なので逆に言えば相続税路線価を0.8で割り戻せば時価水準ベースになりますし、固定資産税評価額を0.7で割り戻せば時価水準ベースとなるのです。
地価公示価格は1月1日現在の価格を不動産鑑定士2名が評価して求めており、その評価する地点は都市計画法による(準)都市計画区域内にのみ設定されています。
一方地価調査価格は7月1日現在の価格を1名の不動産鑑定士が評価を行っており、評価地点は(準)都市計画区域内だけに留まらず都市計画区域外及び林地にも設定されています。
地価公示価格、地価調査価格については国土交通省の「土地総合情報システム」でその地点の価格や設定されている評価対象地の情報がわかります。
北海道の不動産評価額情報を得るには
また、北海道で言えば道庁の土地水対策課のページからその情報が得られます。
なので当該公示地及び地価調査基準地が調べたい場所の近くにあれば、それとの比較でおおよその価格が判定出来ると思います。
ただ一方で調査地点が限られるため、調べたい地域に標準地が設定されていない場合は離れた地域の標準地との比較になるざる得ないため万全とは言えないのです。
そこでその場合、相続税路線価の活用をおすすめします。
これは相続税・贈与税の申告に際に土地評価の基準とするために国税庁で付設しているもので、そのもととなる評価には不動産鑑定士の評価及び地元精通者の意見価格が参考とされています。
相続税路線価が付設されていない場合
先程もお伝えしたとおり、相続税路線価は時価水準ベースの0.8掛けなので例えば自分が調べたい土地の路線価が100,000円/㎡となっており、地積が150㎡、形状は標準的な画地(減価要因等がない)の場合は 100,000円/㎡ ÷ 0.80 × 150㎡ = 18,750,000円 が時価水準ベースの目安となるのです。
ただ相続税路線価もある程度地価水準が高い地域にしか付設されておらず、特に北海道で言えば主要な市町のみとなっております。
そこで相続税路線価が付設されていない場合に活用をおすすめするのが、固定資産税評価額となります。
これは市町村が固定資産税を課税するためのもととなっている価格で、全ての土地に付されています。
不動産を所有していれば毎年固定資産税納税通知書が送られてくると思いますがそこに固定資産税評価額が表示されています。
こちらも土地に関して言えば時価水準ベースの0.7掛けとなっていますので、例えば土地の固定資産税評価額が15,000,000円 となっていれば、15,000,000円 ÷ 0.70 ≒ 21,400,000円が時価水準ベースの目安となるのです。
一筋縄ではいかないのが不動産
このように上記公的な価格からおおよその目星は付くのですが、一筋縄でいかないのが不動産なのです。
上記はあくまで標準的な画地を想定していますが、例えば土地の形状が不整形、敷地規模が広大、上空に高圧線が通っている、地下鉄徒歩圏で地価の値上がりが顕著等、地域性や形状などによって減価要因、増価要因が発生致しますので標準的な画地の価格にその要因を反映させ最終的な価格が決定されるのです。
もし所有している不動産に特殊な要因があり、相続税路線価等での評価では時価と開差が生じる可能性がある場合は一度ご相談下さい。
それでは今後とも小林不動産鑑定事務所をどうぞ宜しくお願いします。